日本自動車車体補修協会『メリケン工房』にポリバンス社が開発した窒素ガスシールド樹脂溶接機を使用する修復技術を導入
破損したプラ製部品を高い強度・品質で補修 日本車体補修協会が研修会
https://www.netdenjd.com/articles/gallery/232675
日刊自動車新聞掲載本文内容
日本自動車車体補修協会(JARWA、吉野一代表理事)の車体補修情報普及委員会・先進修理技法ワーキンググループは、板金塗装工場のTクラフト(田中郁雄社長、愛知県岡崎市)で「メリケン工房」の専用研修を開催した。窒素ガスシールド樹脂溶接という技術を使用する補修方法で、破損したプラスチック製パーツを高い強度と品質で修理することが可能になる。
JARWAは、米国でプラスチック製品の補修機器などを扱うポリバンス社が開発した窒素ガスシールド樹脂溶接機を使用する修復技術を導入。国内外の自動車メーカーで、自動車のボディーに樹脂製パネルの採用が増えており、ニーズの高まりが期待されている。この技術の研修を修了した企業は「メリケン工房」の名称を使用し、一定水準の修理技術が提供可能なことを担保する。
メリケン工房は、破損した部分をそのまま使用して、強度と柔軟性を確保した修復ができる点が特徴。ポリバンス社は「一般的なエポキシ系接着材と比較して2・3倍の引張強度」と説明する。これまで対応できなかった箇所も修理可能となっており、代替部品を用意する場合と比較して、部品代や廃棄料金、パーツを探す時間などを削減することができるという。
講習では、ポリバンス社が設定する基本技能を座学と実技で学ぶ。加えて、メリケン工房オリジナルとなるヘッドランプを修理する際の素材選定や修理方法を学ぶヘッドライトリペアコースのプログラムを実施。UV(紫外線)を使用してパテを硬化する講座なども用意しており、要望がある場合は講義に盛り込んでいる。
研修を担当するTクラフトの田中社長は、2019年から国内で窒素ガスシールド樹脂溶接の使用を本格的に開始。「修理業者の収益性などが下降傾向にある中、新技術の習得で収益性向上を図ることができる。修理をする際には、新品のパーツを買うよりも経済的。保険会社やユーザーに対する負担も軽減できる点がメリットだ」と解説する。
研修に参加したムーブメント(清水正次社長、兵庫県西宮市)の清水社長は、これまで対応の難しかったパーツの補修ができる点に魅力を感じ、以前からポリバンス社の溶接機を導入していた。しかし、十分に使いこなせていなかったため、研修に参加。「体験することの重要性を再認識した。基礎を学ぶことで技術が向上し、補修の品質が高まった」(清水社長)という。今後は、人手不足を補いながら収益性確保を図り、SNSなどでユーザーへアピールしていく計画だ。